かなり変わったお店あります
想像してみてください。
今、あなたは、初対面の異性と二人きりでご飯を
食べています。
お見合いではありません。
それどころか、年齢、職業、出身地など、相手の
バックグラウンドは、一切尋ねてはいけないことになっています。
あなたなら、何を話しますか?
それとも、何も話さずに、ただじっとご飯を食べ続けますか?
このお話は、そんな「サービス」にお金を払って、
そんな不思議な店に通い続ける男の物語です。
お店といっても、毎回、場所も違う、
相手の女性も違う、
いわば、一期一会の空間と時間、その緊張感を買うのです。
(以下、引用)
私はふと気がついた。(中略)あれこれ説明を受ける必要などない。
どんな名前で、年齢はいくつで、出身はどこで、どんな身分で、どんな
生活をしているのか、どんなことを考えているのか、そういった説明的な
情報によって、その人間の味わいが変わるだろうか。(中略)
そういった情報に、普段どれだけ私たちは惑わされているだろう。
ただこうして、じっと人間がものを食べる仕草を眺めているだけで、
その人間の生き方がもっと見えてくるような気がした。
(引用終わり)
ものを食べる仕草を眺めることで、相手のことを想像する・・・。
そんな行為に、喜びを覚え、次第にのめり込んでいく男。
男が、何人かの「少し変わった子」に会っていくうちに、
物語は、背筋が寒くなるような展開を予感させる形で
終わっています。