ひとつのいい親子関係を描いた小説
病床に伏した父親。
見舞いに来ない息子。
二人の間には、当然、何らかの軋轢があります。
そんな父親の楽しみといえば、
看護婦さんとの将棋の勝負。
1日一手ずつ、というスロー将棋ながらも、
彼の喜びの一つとなっていました。
そして、来るべき、父親の死。
そこで、真実が明かされます。
将棋の相手をしていたのは、実は、息子。
電話で、次の手を看護婦さんに連絡して
いたのです。
父親は、当然、そのことに気付いていたはず・・・。
会って話をするわけでも、
電話をするわけでも、
手紙のやりとりをするわけでもなく、
二人の間に交わされる、戦いという名のコミュニケーション。
このエピソードは、あくまでサイドストーリー
に過ぎないのですが、この作品をより深く味わう
ための、よいスパイスになっていたと思います。